音楽

 
演奏スタイル

彼らの音楽、サウンド、演奏は新旧両スタイルを取り入れている。特徴的なユニークな楽器、空間的ホケティング*奏法、うなり音と継ぎ目のない音の構成などがエネルギーみなぎるリズムと演劇、彫刻、社会運動、儀式の要素をもったパフォーマンスを演出する。ダイナミックで独特な演奏言語はファンクのリズムを変拍子に織り込むようにして発展してきた。彼らの音楽は大部分が作曲されているが、演奏者と観客の驚きとの調和によって、即興的部分も増してくる。聴覚で感じるものは視覚でも感じる、またその逆もいえる。演奏という行為は音楽的、視覚的、社会的アイデアをつなぐ結合点となる。
*ホケット(ホケトゥス):中世ヨーロッパで使われた言葉で複数の演奏者がお互いに他が音を出さない時に音を出し、補完的に一つのリズムまたはメロディーラインを編み出す奏法。語源の意味は「しゃっくり」。アフリカなどの民族音楽でもみられる。

試聴
手作り楽器

フロムスクラッチの楽器:音と記号:耳と目のための信号。創立当初より、楽器の発明はグループ発展の中心であり、それらは、あり物を集めたものから設計された作品へと、音色の表現形態は調律されてないものから調和のとれた精密に調律されたものへと進化してきた。


この発展の中心となるのが調律されたパーカッション・ステーションである。これは塩化ビ・パイプ(各14本)、調律された鐘、サイズの違う太鼓 、割れ目の入った竹、をフレームで組み合わせたものである。この楽器は初め4台で、後に3台と他の打楽器とうなり木を加えたものが80年代に国際的に認められたフロムスクラッチのサウンドを生み出した。

90年代に入り、新鮮な音と新しい視覚イメージをもつようになった。調律され並べられたユニークなパーカッションは依然としてグループの音色の基礎となっている。新型セットはより持ち運びに便利で融通の効くものとなり、短、長ふたつのパイプの列がある。この楽器は、アイドラムのセット、横に長い弦が張られた楽器(叩いたり弓を使って弾く)、トーンツリー(様々な金属製ゴング)、回転によって空気を切るうなり木、角柱型ベル、声、その他の楽器を伴なって演奏される。

最新プロジェクト

2001年 PACIFIC PLATE

1998年 GLOBAL HOCKETS

GLOBAL HOCKETSはアナログとディジタルの間で交わされる対話、そして連動する模様とリズムのエネルギーを賛美する。この作品は二つの形式で存在する。ひとつは彼らのみによる、音楽、サウンド、照明、演奏、のバージョン。もうひとつは、ドイツ、フランクフルトのSupreme Particlesのコンピュータアーティスト、Michael Saupとのコラボレーション・バージョンである。この共演は、ライヴパフォーマンスに反応し変化するインタラクティブ・ビデオ映像とコンピュータの投影との対話を試みることを意図して行われた。インタラクティブ視覚環境を空間的ホケットの生演奏の躍動性に結合することによって、'ホケット(散奏)'の概念はコンピュータ映像と音楽/サウンドの共演にも同様に当てはまる。この作品ではこれまでの楽器に多数の金属棒を付けた新作の”ナンドラム”、2台の低音ドラムステーションが加えられた。
「グローバル・ホケッツ」のビデオ近日来日、CD発売中

 



 
Bellpole Hocket は細かく織り込まれた即興音からひと繋がりの素早いリズムに及ぶまで、アルミパイプの自然の倍音が利用されている。
Handbells and Vocal hocket は調律された切れ目入りのアルミニューム製ベルの発する透き通るような音色のクオリティーと演奏者の声にスポットを当てるために作られた作品。この楽器はベルの両端、つまり切れ目の入った方と共鳴する側がお互いに振動を助け合う原理、'tuned tongue'原理を利用している。様々な演奏技術は音に変化に富んだ表情を与え、複雑なリズムパターンは音に不思議な雰囲気をもたらす。調律は等七音階で、東ソロモン諸島のマライタやタイに見られる伝統的音階である。
Fingerpot Rag は色々な手のひらサイズのユニークな楽器を使った拡張されたパーカッション作品で、小さな’fingerpots'と'song-stones'に長弦楽器'Zitherum'(長く張られたピアノ線と太鼓にポリスチレンの共鳴部分を付けた楽器)、長いビニルチューブで低音を出すものと2台の’アイドラム’の計3台の大型パーカッション・ステーション、アルミ製のベル、ゴングを加えて演奏される。